A型事業所連絡会及び研修会報告1「滋賀県の取り組みより」

当ネットワークが事務局を担っている福島県自立支援協議会就労支援部会主催の「平成30年度 A型事業所意見交換会及び研修会」が平成30年11月27日に開催されました。
午前中は一般公開で、滋賀県から「滋賀県の取り組みより」と題して、NPO法人滋賀県社会就労事業振興センターの城貴志理事長と岡山県から山陽新聞社編集局重点企画取材班記者の久万真毅氏による「A型大量解雇問題から取材を通して見えてきたもの」と2本立てで話題提供の講演をいただきました。午後は、福島県障害福祉課丹伊田氏からの県内のA型事業の実態のお話から、そしてA型事業所の方々の意見交換会と言う流れでした。

さて、講演&研修の内容がとても充実していたので、報告はいくつかに分けておこないたいと思います。

まず、最初の講演は題して「滋賀県の取り組みより」

遠い滋賀県よりNPO法人滋賀県社会就労事業振興センターの理事長兼センター長の城貴志さんより講演をいただきました。

午前中は一般公開だった為、多くの方が来場されました。

冒頭、人口減少社会と働く事を取り巻く現在の環境についてお話がありました。
働く世代の人口が減少している中で有効求人倍率や福島県と滋賀県の比較など具体的な数字を示した説明がとてもわかりやすかったです。
全国的に移行支援の利用率が低く、B型の利用率が高いという傾向にあるようですね。

その後は、城さんが理事長をしているNPO法人滋賀県社会就労事業振興センターの事業のお話、法人の理念やどんな社会にしていきたいかなどのお話をいただきました。

「働く事で幸せを感じられる社会を目指していく」

と言う考えで取り組んでいると言う事にとても共感を覚えました。
また城さんの法人は福祉サービス以外にも公益事業や障害のある方だけでの支援ではなく「働きにくさを抱えている方」への支援もしているとの事でした。
とても幅広い取り組みですね。

城さんは社会全体で人材不足があるなかでA型の存在意義や役割について考えていく必要がある。とおっしゃっていました。
これからは「誰もが地域で活躍できる地域作り」が必要になってくる。
自分が取り組む地域を意識して本人支援をしていかなければいけませんね。

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ここからがこの日の研修の本題。A型事業について。

ます、城さんが取り組んでいる「滋賀県就労継続支援A型事業所協議会」の話がありました。
会員が自前で作ったホームページがあるとの事だったので早速探しててリンクを貼っておきます。
>>滋賀県就労継続支援A型事業所協議会(通称BAN)
この協議会は2016年に設立されたそうです。
滋賀県はもともと自立支援法が施行される前、滋賀県独自の利用者の方と雇用契約を結ぶ制度(事業所型作業所制度)が存在していたそうです。
そこには補助金も支給されていたようで、すでにA型のような制度を独自に作っていた事が驚きでしたね。
のちに、自立支援法が成立、就労継続支援A型という制度ができ、そのA型のあり方を危惧する声が上がってきて、滋賀県の中でA型事業所協議会ができたそうです。
滋賀県内22ヶ所のA事業所があり、そのうち20カ所が所属しているという入会率の高さ。
城さんの話の中で特に印象に残った事は、もちろん色々なA型事業所がある中で、批判をするのではなく仲間に入れて一緒にA型の役割などを検討していくというところでした。
批判することは簡単。だけど地域の中に存在している以上、地域を考えた時には一緒に歩んでいく事の方がメリットがありますね。
具体的な取り組みとしては、事業所見学会を開催したり、研修会を行ったりと幅広い取り組みもされていましたので詳しくはHP見てみてください。

さて、もう少しA型事業所について城さんの話の中から。
▼A型事業所とは
一般就労と福祉の中で働くという2重構造がある中で、A型事業所はその中間にいるの存在。
「労働の確保」にプラスして「福祉の支援力」を有しているのがA型事業。
”福祉の支援力”そこに給付金が支払われているという事を認識しておかなければならない。

企業性(収益性)+福祉の支援力 = 就労継続支援A型事業

なるほど納得です。税金が使われている訳ですからしっかり意識して取り組みたいですね。

また、”ディーセント・ワーク”という言葉がありました。
A型事業所も「働きたい職場でなければいけない」それは「働きがいのある人間らしい仕事」がなければいけない。
A型の事業に限った話ではなく、自分が所属している職場含めてどんな事業所でも当てはまりますね。
障害者だからではなく、人間としての権利や尊厳を守る事を考えていきたいですね。

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またまだたくさんのお話がありましたが、最後に城さんの講演の中から
▼働くということ
「働く(はたらく」・・・はた”(周り)を”らく”にする
”はた”=地域・社会へのお役立ち。地域、社会での自分居場所・役割
そして、支援者の力量が利用者の可能性や夢・希望を広げるという言葉が印象に残りました。

とってもこれからの支援を考えさせられるお話で福島県の中でさらに理解を深め考えて行きたいですね。

城さんありがとうございました。

次回は、山陽新聞社編集局重点企画取材班記者の久万真毅さんの講演「A型大量解雇問から取材を通して見えてきたもの」報告をいたします。

(投稿:福島就業支援ネットワーク事務局 今泉)

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